海外情報
伸銅海外情報 (2013年3月22日号)

目 次

○香港証券取引所がLME価格と連動する [金属] 取引の開始・清算を検討
Metal Bulletin: Feb. 11, 2013


○アントワープの指定倉庫が銅の勧誘に100ドルの奨励金を提供
Metal Bulletin: Feb. 25, 2013


○大手 [銅] 半製品メーカーのCEOによる今週の発言は、主力市場の場所次第で、業界内で運命が分かれることを示唆
CRU News: Mar. 11, 2013



香港証券取引所がLME価格と連動する [金属] 取引の開始・清算を検討

ロンドン発
Alex Harrison筆
複数のブローカー業者(委託取引取扱業者)の幹部社員が本誌に語ったところによれば、香港証券取引所は、ロンドン金属取引所(LME)価格をベンチマークとして香港で売買、清算される [金属] 取引の開始を検討しているという。
LMEリング・ディーラーのJefferies Bacheでベースメタル・上場商品部門のグローバル・ヘッドを務めるMike Frawley氏も、香港取引所がそのような取引の開始を検討していると(氏自身が)考えていることを認めた。
昨年、中国金融市場自由化の一歩前進が正に確実視されていた時に、香港取引所は14億ポンドでLMEを買収した。
Frawley氏は次のような見方を示した。「香港取引所が、香港で売買、清算される金属取引の導入を検討している可能性がある。様々な理由から、金銭的なLME買収効果を具現化するために、香港取引所がその方向に動き出すことは理にかなっている。
私が理解している限りでは、LMEが新設する予定の清算機関LMEClearの本格稼働は、少なくとも15ヵ月先になるとみられる。
今のところ、LMEは [英仏清算機関の合併で誕生したLCH.Clearnet] を介した新商品提供の規模を見積ることができない。」
LMEがLMEClear設立を決断した理由の一つは、外部に頼らず自力で新商品を市場に提供する力を高めることにあった。
あるLMEブローカー業者の責任者は、LME価格をベンチマークとする [金属] 取引を検討する動きは、先月アジアで開催された香港取引所とブローカー業者間の会合でも議題にのぼったことを明らかにし、次のように述べた。
「香港取引所が認可するLME [金属] 取引についても協議した。香港取引所がLME [金属] 取引を上場した場合、清算地をロンドンにするか香港にするか選択できるようになるため、利用者には有益だろう。」
Frawley氏は、次のように付言した。世界全体のベースメタル生産量の約40%が中国で消費され、またアジア太平洋地域では膨大な量 [のベースメタル] が取引所で売買されているため、「香港取引所が香港での清算という点について金属取引を検討するのも理にかなっている。
ただし、香港取引所が金銭の取引決済だけを考えているのか、または現物決済も考えているのか、あるいは取引決済はドル建てと人民元建て双方でできるのか、といった事柄はまだ不明である。」
香港取引所の動きの背景には、上海先物取引所が2通貨建て原油現物取引の開始を目論み、欧米のブローカー業者に利便性向上を約束しているという事情があり、市場は上海の動向を銅取引の展開を示すひな型とみなしている。

Metal Bulletin: Feb. 11, 2013


○アントワープの指定倉庫が銅の勧誘に100ドルの奨励金を提供

ロンドン発
Mark Burton筆
2月15日(金)、関係筋は本誌の取材に対して、アントワープのLME指定倉庫運営会社が、銅の入庫を勧誘するため1トン当たり100ドルの奨励金を提供していると語った。
奨励金を提供してでも預け入れてもらえば、昨年末にかけて大量の亜鉛、鉛、鉄鋼がキャンセル(引渡し先が確定している出庫待ちの状態)になった結果、アントワープの倉庫で伸びた [出庫待ちの] 列の後ろに銅を積んでおく間、もしくは列に並ばせている間、倉庫会社は銅の保管料を獲得することができる。
2月15日(金)現在、アントワープのLME指定倉庫に保管されている金属は484,850トンで、その57.2%がキャンセル・ワラントの状態にある。
アントワープでは、Trafiguraが所有するNemsが最大手の倉庫会社だが、CWT、Erus Metals、Henry Bath、Metal Terminals International、Pacorini、Vollersも現地倉庫を所有している。
ここ数年、アルミ市場では保管奨励金の提供が一般的になっているが、銅は伝統的に、余りに [需給が] 逼迫しているためそうした慣習が一般化することはない市場と目されてきた。
だが今や、バリューチェーン全体を通して、供給過剰が表面化しつつあると示す確たる証拠がある。つまり、[銅] 精鉱の溶錬料(TC)が値上がりした反面、カソード・プレミアムは縮小し、[銅] 製品販売数量も減少しているのである。
LMEの銅在庫はここ4ヵ月でほぼ倍の40万トンに達し、現物と3ヵ月物間の現先スプレッドは過去2年間で最大の順ざやになっている。
欧州では、本誌集計のロッテルダム・プレミアムの下限が年初の1トン当たり100ドルから50ドルに低下した結果、株主には倉庫会社の奨励金が魅力的に映る。
産銅会社は本誌に次のように語った。「現物市場は薄商いで、プレミアムは押し下げ圧力を受けてきたが、今や倉庫会社が喜んで高い [奨励金] を支払う時代になった。
現物市場では、プレミアムはおそらく [1トン当たり] 60ドルか70ドルといったところなのに、倉庫会社は100ドル払ってくれる。」

Metal Bulletin: Feb. 25, 2013


○大手 [銅] 半製品メーカーのCEOによる今週の発言は、主力市場の場所次第で、業界内で運命が分かれることを示唆

イタリアの銅半製品メーカー、KMEグループSpA(欧州依存度は85〜90%)のCEOを務めるRiccardo Garre氏は、ブルームバーグの取材で、同社の2013年の銅・銅合金半製品生産量は2012年比では横ばい、2011年比では10%減の43.5万トンになる見通しだと述べた。ただし、「2013年の生産量が2012年と全く同じ水準だと仮定するのは、実のところ悲観的な見通しであることを意味する。」と語り、自動車産業やエレクトロニクス産業向けの銅・銅合金圧延品はやや堅調であることに言及した。
これに対して英国の銅半製品メーカーのLuvataは、CEOのJohn Peter Leesi氏曰く、米国と中国の自社製品需要が2013年に5%拡大すると予想している。やはりブルームバークの取材で、Leesi氏は、同社にとって住宅と商業施設の建設が非常に重要だが、米国ではこれらのセクターの回復で需要が伸びていることを明らかにした。Luvataは、2012年は低迷していた中国のエアコン向けセクターが2013年に拡大するにつれ、銅管需要が回復することも期待している。欧州については、2013年の需要は「横ばいから小幅増」とみている。

弊社の見方:上記の2社の発言によって、欧州とそれ以外(北東アジアを除く)の間で、銅半製品生産の明暗が分かれていることが浮き彫りになった。弊社が聞いた限りでは、中国と米国の主要最終需要セクターは今年力強いスタートを切り、エアコン向けセクターの [銅半製品] 需要も、2012年第4四半期から始まった回復基調を継続している模様だ。また、米国の圧延品動向に関する発言からは、自動車製造業向けも堅調であることがうかがえる。弊社においても、欧州の [銅] 圧延品の回復は、北米自動車セクターからの需要の [現地で対応し切れない分の] おこぼれにあずかっているだけで、必ずしも欧州の自力によるものではない、と考える理由がある。

CRU News: Mar. 11, 2013







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