海外情報
伸銅海外情報 (2013年1月8日号)

目 次

○JPモルガン、高い信用力をバックに金属取引で台頭
Metal Bulletin: Nov. 26, 2012


Luvata役員によれば、銅ETFで市場は「大混乱」に
Metal Bulletin: Dec. 17, 2012



○CRUNews   Dec. 12, 2012



JPモルガン、高い信用力をバックに金属取引で台頭

ロンドン発
Mark Burton筆
JPモルガンのグローバル・コモディティ・グループ、エグゼクティブ・ディレクターを務めるChristian Schirmeister氏は、本誌の取材に対し、同社をはじめとする大手投資銀行は伝統的に金属取引に本腰を入れてこなかったが、今や高い信用力と強大な資金力をバックに、様々な分野の金属取引に手を広げつつある、と語った。
RBS Sempraのコモディティ事業部門買収以降、JPモルガンは金属取引を活発に行う大手行の一角を占めるようになり、現物と先物の取引高においてはライバルのGoldman SachsやStandard Bankと肩を並べている。
JPモルガンはLMEのリング・ディーラー資格を有する一方、完全所有子会社のHenry Bathが経営する世界的な倉庫網を傘下に従えて、大量の金属現物取引を捌いている上、強力な私設の電子コモディティ取引プラットフォームも整備している。
Schirmeister氏は、今年のLMEにおける自社取引高について、「現在の取引高に満足しているが、弊社も一市場参加者にすぎず、他の参加者と同じように様々な影響に左右されている。」と謙遜した。
自身の裁量で運用する投資家がリスクを軽減し、[金属] 価格が狭いレンジ内で揉み合っているため、今年の先物取引高は節目ごとに押し下げ圧力にさらされているのに対し、産出会社、需要家、小規模な商社が信用管理に苦労している現物市場では、JPモルガンが果たす役割の重要性が増している。
JPモルガンは今年コモディティ全般の比重を引き下げたが、金属取引部門は特に銅とアルミの金属現物ポジションで回収したプレミアムにより収益を獲得したため、高い業績を達成したとみなされている。
Schirmeister氏は、金融危機以降、金属セクターの与信制限を受けて、同社の金属現物調達・売却能力が [相対的に] 高まった結果、市場での役割の重要性が増したと説明し、次のように言い添えた。
「状況は一変した。産出会社は当然のことながら投資責任に慎重に取り組む一方、需要家は自社の生産と戦略的備蓄に既に十分な資金を投じており、それ以上の資金を調達するのは非常に難しいことを自覚している。ごく少数の例外はあるが、金属取引も同様の問題を抱えている。」
[投資] 銀行は運転資本を自由に使って産出会社から直接金属を買い付け、需要家のジャスト・イン・タイム方式の操業に備えてそれを保有していることから、株式も公開していないような [小規模な] コモディティ商社が通常席巻していた市場で銀行が果たす役割の重要性が増している。

Metal Bulletin: Nov. 26, 2012



○Luvata役員によれば、銅ETFで市場は「大混乱」に

世界最大級の銅需要家の一つに数えられるLuvataの上級役員に言わせると、銅現物を裏付資産とする上場投資信託(以下「銅現物ETF」と表記)などの金融商品が、価格を歪めボラティリティを上昇させるなど、市場を「大混乱」に陥らせる、とされる。
資材調達・統率・組織発展担当シニア・バイスプレジデントを務めるBob Kickham氏は、本誌のインタビューで、Luvataは銅現物ETFや類似する金融商品には「根本的に反対」であると答えた。これは、米国の規制当局がそれらの金融商品の設定認否を検討する際に、同社が当局に示した見解どおりである。
Kickham氏は次のようにコメントした。「投資事業体や複雑で融通が利かないシステムに縛られずに、有益な製品・サービスのために最終需要家が金属を入手できるようにする必要がある。
ETFの必要性も理解できないし、相場を歪めると考えている。ETFの影響で一部の産業用原材料が市場に出回らなくなる見通しであることを不快に思っている。またETFの影響で、不要にボラティリティが上昇し、実需筋は [事業] 計画を立てにくくなろう。」
Luvataは、JPモルガンとBlackRockそれぞれの銅現物ETF設定案に反対して、米国証券取引委員会(SEC)にロビー活動を行っている需要家団体に加わっている。
この団体の他のメンバーには、Southwire、Encore Wire、AmRodなどの需要家の他、金属を主体に運用するヘッジファンドRK Capitalも名を連ねている。
さらにKickham氏は、「ETFのような金融商品の短期的な影響ではなく、中・長期的な影響の方が心配だ。
そのような有価証券は禁止されるまで気ままに相場に出入りし、銅市場を大混乱に陥れるだろうが、その時には、また誰かがそれらに取って代わる別の金融商品を考え出すだろう。」と付言した。

Metal Bulletin: Dec. 17, 2012



CRUNews  

ドイツ大手の銅製錬・銅半製品製造業者であるAurubisグループは、2011/2012年度(2011年10月〜2012年9月期)の税引前営業利益が、前年の2.92億ユーロ(3.803億ドル)から2.96億ユーロ(3.855億ドル)に増加した、と発表した。グループの製錬事業部門が牽引役となってこのような増益を達成したにもかかわらず、「[銅] 棒市場と形 [銅] 市場の軟調が原因で、銅製品」の利益は「前年比で大幅に減少した」ことも明らかにされた。グループの [銅] 半製品事業の2011/2012年度営業利益は前年の4,970万ユーロ(6,470万ドル)から1,010万ユーロ(1,320万ドル)に激減し、会社側は銅製品需要を押し下げた要因として「欧州債務危機の経済的影響」を挙げた。同社は、2011/2012年度の銅管生産量が前年の78.5万トンと比して18%減の64.6万トン、連続鋳造形銅生産量は前年の19.7万トンと比して17%減の16.4万トン、圧延品生産量はこれらよりましなほぼ横ばいの21.7万トンであったことも公表した。

弊社の見方:Aurubisの [銅] 半製品事業の収益性が悪化しているという事実は、その規模と市場における地位を鑑みると、欧州の [銅] 半製品市場全体にとって好ましい兆候ではあるまい。欧州の景況感は依然として低迷しており、[銅] 半製品の最終需要セクターはまだ不振に喘いでいることから、欧州の [銅] 半製品製造業者は当面 [収益悪化] 圧力から逃れられないと思われる。

Dec. 12, 2012






統計情報(会員専用)トップページへ戻る


All Rights reserved, Copyright(c) 2000 Japan Copper & Brass Association