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伸銅海外情報 (2012年12月3日号)

目 次

○ 「確固たるLME取引慣行はそのまま受け継ぐ予定」とHKEx最高経営責任者
 MW誌2012年10月22日

○「香港証券取引所はLME指定倉庫に関する規則を検討し、必要であれば対応策を取る意向」とCEO
 MW誌2012年10月22日

○「2013年の銅市場は40万メトリックトンの供給余剰になる見通し」と国際銅研究会
 METALSDAILYLMECLOSE誌 2012年10月10日


CRU Weekly ニュース 
 2012年10月19日




「確固たるLME取引慣行はそのまま受け継ぐ予定」とHKEx最高経営責任者

ロンドン ― ロンドン金属取引所(LME)と香港証券取引所(HKEx)の組み合わせは、単に金属取引が中国に移管するという話ではない。HKExの李小加最高経営責任者(CEO)が10月15日に述べたコメントから判断すれば、取引場を含め、LMEの古くからの取引慣行の多くは維持されるようだ。
ロンドンで開催された2012年LMEメタルセミナーの質疑応答の席で、李CEOはLMEを対象とした「多次元戦略」の概要を説明したが、中でもアジアの金属取引に対する障壁の撤廃、自己決済、電子取引の一端などに言及した。
HKExは13億8,800万ポンド(22億3,000万ドル)に上るLME買収を第4四半期中に完了したいと考えている。
ただし李CEOは「我々が電子取引について検討する場合は、取引場で何かをしようと策を検討するのとはわけが違う。プラットフォームの電子化については、差し迫った課題とは考えていない。少なくとも『直ちに』というわけではない」と明かした。
また李CEOは「世界のこちら側の規制当局者は、金銭的利害関係が支配する取引業務に極めて懐疑的だ」と指摘した。その一方で、「LMEが日常の有形システムであるという事実は、アジアにおける取引にとってプラスに働く」との見解も明らかにした。
「もっと大胆な変化を我々に求める向きもあったが、我々にはその気は毛頭ない」と李CEOは断言した。
「LMEをロンドンから移すつもりはあるか」との質問に対して、李CEOは「ロンドン金属取引所は今後もずっとロンドンを所在地とする」と明言した。
李CEOによると、全9名のLME取締役会のうち、5名は独立したメンバーである必要があり、また新しい所有体制と金属業界のベテランの間のバランスをうまく取る必要もあるとのことだが、あまりに多くの意見が出る場合は「対立が起こる可能性がある」という。李CEOの言葉を借りれば、取締役会は「真の金属専門家」をメンバーに迎えるべきだが、「業界関係者が多数を占めるべきではない」。
李CEOは「取締役会には現在、あまりに多くの相容れない利害関係が存在する。我々は今後、業界全体について考慮していくつもりだ」と述べた上で、所有体制に関するFSA規則に則り、今後は常務取締役の数を4名に限定するとともに、ブライアン・ベンダーが引き続きLME会長を務める予定であることも明らかにした。
「LMEのマーティン・アボット最高経営責任者(CEO)がHKExの取締役会メンバーに加わるか」との質問に対して、李CEOは次回の取締役会会議まで回答を控えるとした一方で、HKEx設立趣意書によると、常務取締役の必要人数はたった1名であることに言及した。

中国とアジアに関する戦略
「新しい取引所は成長のために中国に焦点を合わせるのか」との質問に対し、李CEOはまずHKExの戦略について語った。それによると、当該戦略には3つの「バケツ」があるとのことだった。「中国とアジアが焦点になるだろうが、我々の戦略は1つのことに焦点を当てる一次元の戦略ではない」と同CEOは答えた。
李CEOいわく、第1のバケツは「我々が現在有しているものであり、障壁を撤廃することで、改善しようとしているものだ」。これには、アジアの諸システムを整備すること、現在の成果物を改善すること、取引所の取引量を増やすこと、中国人の市場関係者をより多く引き付けることなどが含まれる。さらにアジア時間の値付けを取り入れることや、人民元建て取引の導入も、これに含まれる可能性があるとのことだった。
李CEOによると、第2のバケツは「より将来に関するものであり、LMEを利用し、そのブランド力とメンバーシップをグローバルに活用して、他のコモディティへの拡大を目指すためのものだ。拡大対象が金属の場合は、おそらく鉄鉱石とかコークス用炭のようなブラックメタルがその候補に挙がるだろうし、金属以外のコモディティであれば、ゴムや農産物などが候補になるだろう」。
李CEOの言葉を借りれば「我々は最大の需要家と隣り合わせている」ため、合併後の取引所は引き渡しに関して、一大勢力となる可能性があるとのことだ。
またHKExとLMEは合併後も「自己決済をあくまで守り」続ける意向であることも、李CEOは明らかにした。
第3のバケツに関して、李CEOはHKExが成果物を「商品化・現代化」していく予定であることに触れ、その具体例としてITやオンラインの特性・能力の拡充を挙げた。
他の問題について、セミナー講演者に名を連ねたアボットCEOは、「建玉明細報告の大半はくだらない」内容であるため、LMEがこれらの報告を公表してこなかった旨を説明した。比較的小規模の金属約定書に関して、アボットCEOは「目下、帳簿に記載するような約定はない」と述べた。ただし、同取引所が自己決済メカニズムを整備すれば、「新しい約定書を格段に記録しやすくなるだろう」との見通しも明らかにした。
さらに同CEOは「我々は主要な新コモディティ・グループへと移行する可能性、あるいはニッチな金属市場へ進出する可能性を除外するつもりはない」とも言い添えた。

 MW誌2012年10月22日



「香港証券取引所はLME指定倉庫に関する規則を検討し、必要であれば対応策を取る意向」とCEO

ロンドン ― 10月15日にロンドンで開催されたLMEセミナーの質疑応答の席で、香港証券取引所(HKEx)の李小加最高経営責任者(CEO)が「HKExはロンドン金属取引所(LME)指定倉庫問題について、市場に対する影響の深刻度に応じて、対応策を取る準備ができている」と表明した。
去る7月、LMEの取締役会は13億8,800万ポンド(22億3,000万ドル)で同取引所をHKExに売却する議案を承認した。これを受けHKExによる買収は第4四半期中に完了する見込みだ。
李CEOによると、「現時点で明確な答えは出ていないが、HKExは最善策を検討中」とのことだ。
LMEは4月の時点で、「市場の引き渡し問題を軽減するために、大規模倉庫における最低出庫手数料を2倍に引き上げる予定である」と発表していた。以来、需要家から「出庫手数料改定だけでは不十分であり、実物市場では、待ち時間が長いうえに、高いプレミアムが付くという問題が生じている」と、不満の声が上がっている。LMEの計画では、料金改定を6カ月間実施した後、さらに6カ月かけて状況を見直すことになっていた。
李CEOによると、HKEx取締役会がLME倉庫問題を検討するに当たり、3つのレベルで検討を要したという。
李CEOによると、取締役会が取り上げた第一のレベルの問題は、「我々が議題に取り上げている実際の対象は、アルミニウム、あるいはどんなコモディティであれ、必要としている金属を入手できずに、1年間待たなければならない人たちなのか。それともプレミアムを払うことを望まないが、生産は今なお継続している人たちなのか」であった。たとえ後者が対象であっても、「そのことで経済が痛手を被るとしたら、そのような事態は容認できない」と李CEOは見解を述べた上で、「したがって第一の問題は、需要家が1年間待たなければならないために、実体経済が痛手を被るのかどうかである」と指摘した。
李CEOが取り上げた第2の問題は、「需要家は現在、LMEのシステムが原因で、割高なプレミアムを支払わなければならないかどうか」であった。「そうであれば、大きな問題を抱えていることになる。実際に割高なプレミアムを支払っているとすれば、その人たちは搾取されていることになる」と李CEOは問題点を指摘した。
第3のレベルでは、プレミアムの基礎的条件に関する問題が取り上げられた。李CEOの言葉を借りれば「我々が検討しているのは、プレミアムの決定方法に根本的な問題があるという点か、それとも透明性の問題についてなのか」だった。
李CEOいわく、「問題が第1、第2、第3のレベルのいずれであるかによって、対処法は異なる」。
彼の見解によると、第1レベルの問題は「バズーカ問題」であり、第2レベルの問題は「メスを取り出して、外科的解決策を見つける必要のある」タイプの問題とのことだ。そして第3レベルの問題に関して、李CEOは「その問題を軽減するには、漢方薬が効くだろうね」と冗談でかわした。

MW誌2012年10月22日



「2013年の銅市場は40万メトリックトンの供給余剰になる見通し」と国際銅研究会

国際銅研究会(ICSG)が発表した最新のデータによると、来年の銅需給状況は過去3年間の供給不足から一転して約40万メトリックトンの供給余剰になる見通しだ。ICSGは火曜日付の声明の中で「当研究会の2012年予測によると、精錬銅の世界需給状況は、供給が需要の伸びに追いつかない状況が続くため、約40万メトリックトンの生産不足になる見通しである」と発表した。この予測通りであれば、3年連続の生産不足ということになる。ICSGは予測を立てる過程で、「世界銅市場の需給バランスが、世界経済の減速、ユーロ圏のソブリン債問題、中東と北アフリカにおける政治的移行状況、労働争議による生産不足、電気などの公共サービスと資本の不足、そして技術的要因など数多くの要因で、予測と異なる結果になり得ることを認識した」と認めた。銅山の産出量は、新規プロジェクトというよりは、むしろ既存事業の生産回復を主な要因として、増加が見込まれる。さらにICSGは「プロジェクトの繰り延べや遅れによって、見込まれていた新規供給量の大半が2014年以降に延期されたとは言え、2013年には既存事業の一部拡大と新規プロジェクトの開始が予定されているため、銅山の産出量は6.4%増の1,750万メトリックトンになる見込みである。稼働率は2011年の79%から2013年には平均81%に改善すると予想される」との見方も明らかにした。

METALSDAILYLMECLOSE誌 2012年10月10日



○CRU Weekly ニュース

10月16日付の報道によると、欧州最大の銅精錬・精製会社であるAurubisが、需要の軟化を理由に同社の銅半製品の2012年生産見通しを下方修正した。同社の銅棒材・成形品の年初来の生産累計は、前年同期比で約17.5%減少した。その一方、圧延製品は前年比横ばいに留まった。ただし精錬銅に関しては、原材料が入手しやすいことから、年間1.15百万トンの生産能力のフル稼働を続けている。

CRUの見解:Aurubisの銅製品の生産は、ロシアから輸出されるワイヤーロッドとの価格競争とともに、ユーロ圏に蔓延している経済混乱が主な要因となり、対前年比で減少した。同社の圧延製品が前年比横ばいを維持している状況に関しては、Aurubisが2011年第2四半期にLuvataの圧延製品部門を買収したため、その分だけ2012年の生産が数字上、対前年比で膨らんでいることに留意しなければならない。我々の見解では、Aurubisが身を持って実感している厳しい経済情勢は、欧州の同業他社にも影を落としつつある。ただしドイツでは、建設、電子機器、再生可能エネルギーの各業界において、銅半製品の消費量が2013年に回復に向かう見込みであるなど、明るい兆しがいくつか現れている。

2012年10月19日




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